2018年12月

2018年12月29日

夢の先に導いて〜L'ArChristmas随想その1

L'ArChristmasのレポートでも感想でもなく、随想、です。随想…英語にするとエッセイ。でも、エッセイです、って言うのは気恥ずかしいし、おしゃべりをしているみたいな文章な感じだし、随想笑
その1とつけましたが、続けられるかどうかはわかりません…続けたいけど。

ラルクリスマス初日、私が1番感動したのは接吻でした。もっと言うと、接吻→fateの流れでした。
今回のライブの最深部は、接吻→fate→Dearest Loveだったのだろうと思います。私はディープな感じの曲や表現が好きなので、セトリの最深部的に感じる部分が特別に好きなライブって多いです。去年のラニバだと真実と幻想と(もしくはfate)→forbidden lover→Shout at the Devil。でも今回、接吻とfateが特別に好きだったのは、メニューの中での曲の配置の妙や、曲自体の好きさ以上に、この2曲の時のラルクというバンドが、他の曲の時以上に、ライブバンド的に感じたから、私の好みのバンド感を放ってくれていたから、この2曲がバンドとしてのラルクの輝きを強めているように感じたから、もっとこういうラルクが観たいと思わせてくれるステージだったから、なのだと思います。
この2曲、演奏的には初日より2日目がかっこよく思ったのですけれど、hydeの歌と表情と空気感による表現が初日の方がぐっと来たのと、久しぶりに接吻が聴けた高揚感もあり、初日の方が私は余計に心揺さぶられました。初日の接吻の歌はドラマチックに、2日目の歌はより甘く、感じました。両方素敵だったけれど、ドラマチックなのがより好き……。

接吻、大好きな曲で…また生で聴きたいとも、最新のラルクでも聴いてみたいともずっと思っていたので、本当に嬉しかったです。しかも何でしょう、あの視覚的にも聴覚的にも渋くてかっこいいラルクは!!大人のロックスター的かっこよさ!!!hydeがああいうサングラスをかけて歌うのも最高でした(しかし最高と感じると同時に、接吻とfateは表情も是非よく見たい曲だったので、ジレンマもありました笑 真っ黒なサングラスじゃなかったのが、ビジュアル的にも表情が見たいという点でも良かったけど)
接吻はSMILEの曲だけれど、REAL(というかREALの少し後、ソロの少し前かもしれない。hydeの金髪からの連想もあるのかも)を彷彿とさせるような、それでいてあの頃のラルクにはない包容感もありつつの、渋くて気だるいかっこよさ!そういえば、接吻って原型はREALの頃にできた曲なんじゃなかったっけ……?記憶が曖昧でさだかじゃないですけど…

今までは音源を聴きながら漠然としか考えていなかったけれど、この曲は、ライブはsex!みたいなイメージを喚起する曲だなと、改めて思いました。
ライブはsex、って安易な表現かなとも思って、あまり多用はしたくないんですけど…というか、sexには性愛が必要ですよね。でも、ライブはsex、と感じるときに、私は性愛の作用をその空間に感じているわけではないので、実はこの言葉は私の感想をあらわすにはちょっと違うのかも?とも思うんです。あ、『ライブはKISS』とか、『ライブは抱擁』とか言えばいいのかしら。それか、『ライブは交歓』かな。それプラス、生命のスープ的な……(突然のエヴァ感wこれ、ここで昔I CAN FEELの歌詞について書いた時も書いたようなw)そんな感じ。音によって境界線が少なくなる状態、というか。

音も曲調も、歌詞の言語すら違うけれど、HYDEソロのI CAN FEELとどこか通じる情景も私はこの曲の詩に感じていました。どちらも、ハイドの思う、至福の瞬間を歌った曲のようにも感じています。
その至福の瞬間が、どういうものなのか、ちゃんとした歌詞解釈的なことはできていなくて……でも、ライブという交歓の瞬間として読むこともできるのではないかなと、うっすらとは思っていたんですけど、今回のL'Xの接吻ではよりはっきりと感じました。
ハイドの至福の瞬間にライブを当てはめるというか、ライブも含まれると思うのは、ミュージシャンとしての彼が大好きなファンだからこその願望が含まれてるかな?って気もするし、絶対そう、みたいには思ってないんだけれど……

今回、接吻をAWAKEツアーぶりに生でフルで聴きました(AWAKEツアーぶりってすごいですよね…13年ぶり…13年って…)。AWAKEツアーの頃は歌詞や音やライブというものに対する感受性が今より乏しかったこともあり笑 この曲は展開や歌&ギター&ベースのメロディやリズムや、サビのTHEラルク!的な浮遊感・解放感が大好きではあったけれど、生の記憶があまりなかったんです。生で改めて聴くと、何て音が絡み合い、うねりを渦を作り出し、フロアを巻き込んで持って行ってしまう曲なのだろうと思いました。『奏で合う魂の歌声 鼓動が共鳴する』という歌詞も大好きなんですけれど、観客である私(達)の鼓動もまた、彼らの鼓動に共鳴していたのではないかなとすら感じました。
東京ドームの大きな会場だったけれど、そういう、ライブハウスで感じる理想のロックライブ的な空気感とグルーヴも、この曲には感じたのです。それが本当に幸せでした。

果たして、実際ハイドがこの詞に、ライブの情景やバンド感の喜びを織り込んだかは、私には全然確信はないし、むしろこの詞にはもっと深遠な、叙情詩とも通じるような感情や物語が歌われているようにも感じてもいます。聴き手が色んな捉え方ができる、ライブに重ねた捉え方すらできるほどの懐の広い曲!って感じでしょうか。そうして、ステージを歌っている詞として聴くと、
奏で合う魂の歌声 鼓動が共鳴する
からの、
世界は溶合う色
って、めちゃめちゃエモくないですか………(深遠な物語の中の比喩表現での『奏で合う魂の歌声』だと考えた方がもっとエモいけれど笑 まあそれはおいておいて)
そしてまさしくそういう音楽を、光景を、私はラルクリスマスの接吻から感じたからこそ、この曲が音楽の瞬間を歌っている曲のようなイメージをより強く持ちました。
はっとするくらいに感じたんです。ラルクの4人それぞれの魂の歌声がこの曲を奏で合い、彼らの鼓動が共鳴するのを。そして世界は溶合う色だということを。

サビの時、東京ドームの白い丸い天井に、赤いいくつもの円のような照明が映し出されていました。
東京ドームであろうと、キャパ200人のライブハウスであろうと、大好きなバンドでも知らないバンドでも、ライブの音の渦を感じながら、天井を見上げたい気持ちになることがよくあります。そう感じさせてくれるライブがとても好きです。ラルクリスマスでも、何度も天井とそこに映る光を見ていて、接吻のどこかのサビでもそうでした。夢みたいに美しい音楽と光とを感じながら、「ああ、世界は溶合う色だ……」と泣きたいくらいに感じていたあの瞬間が、本当に幸せでした。


去年のラニバの時のラルクに、私はあまり、ロックバンドとしてのわくわくは感じていませんでした。特に初日。ラニバの初日、hydeの歌やパフォーマンスのパワーは本当に素晴らしく感じて圧倒されたんですけれど、ラルクのバンドとしてのグルーヴや心地よさが私にとっては物足りなく感じた。それが当時、物凄く悲しくて……しかも、端ではないアリーナ最前列という最高に臨場感のある幸運過ぎる席だったのに、その感じ方だったので。
 
極端な言い方になりますけれど、ラルクはアートとして、エンターテイメントとして、もしくは一大音楽プロジェクトとして、今なお輝いているけれど、私にとっては、ロックバンドという生き物としてのラルクの輝きは、2008年のL'7の後の休止以降、以前ほど頻繁にはお目にかかれないものになってしまったと感じています。私がラルクに一番求めているのは多分アートなので、それでも尋常じゃなく大好きでかけがえがなく思っていることに変わりはなかったんですけれど……とはいえ、いつもライブのどこかでラルクにロックバンドとしての生命の輝きを感じてはいて、それを楽しみにもしていました。
それがラニバではいつものライブよりも感じなかったから、音の心地よさ(それはラルクのアート面でもある)がもっと欲しかったとかそういう気持ちともまた別に、ラルクのバンド的な命の躍動を個人的にはあまり感じられなかった点がつらかったです(ラニバの二日目は初日よりは大分感じられたので、ほっとしたけれど、満たされるほどには私は感じていなかった)。あの後私は、ラルクの未来に対して大分諦観的になってしまっていたように思います笑 次のライブがこんなに早く(?)あるとも思っていなかった。

そんな心境の後の今回のライブで、ラルクは去年の春よりもロックバンドに私には聞こえたし、感じました。今回のライブで1番嬉しかったのは、そのことでした。その象徴みたいに感じたのが、接吻とfateのステージだったのだと思います。
ちなみにお席は初日はアリーナAの1番端のブロック、2日目はアリーナBの1番端のブロックだったので、面白い席だったけれど、臨場感があるかというと微妙なところで、中央ステージはほぼ肉眼で見ていないし、中央スクリーンは見えなかったし、演出もあんまり見えていません笑 そして初日はスピーカー(センター方向を向いている)よりも思い切り外側の席だった所為なのか、音量が物足りなく感じました。でも、それでも、だったんです。 


ラルクの楽曲やライブは、たくさんの深くて美しい夢を見せてくれます。
今私は、次の夢を見ることを楽しみにしています。 


philomel at 23:20|PermalinkComments(0)│ │ラルク | ライブ感想

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