私は勝手に『ブログで歌詞解釈をする前に当時のインタを読み返す』と決めていて(笑)でも今回は読めていないので、歌詞解釈です！とは言えない気分なんだけどｗここ数日歌詞の意味について考えていたので書きます！ｗ

まずはひとつ前の記事の拙訳をベースに、一連ずつ。

月のもと　眠りたい　眠りたい
静けさで　あなたは私を癒す、また
長くてつらい一日に　あなたは私を守る
月のもと　私はただ　銀の輝きに覆われる

月の光の及ぶ世界、月に属する世界は、『私』にとって優しい世界。その優しい世界で眠っていたい。
しかしこの連の最後の言葉、the silver shining＝銀の輝きとは、何なのか。

hydeの目には朝焼けが銀色に見える、という発言を、以前Twitterで教えていただいたことがあります。だとすれば、銀の輝き＝朝焼け＝次の行の朝の輝きだと思いました。

the silver shiningの詞は１番と２番が対称的になっています。そして２番のAメロの最後の言葉はnightで、次の行（Bメロ）で夜の説明が歌われる。
ということは、１番も同じ構造なのではないかと思いました。
１番のBメロでは朝の説明が歌われているので、１番のAメロの最後の言葉も、朝に関係しているのではないかと。
そう考えると、１番Aメロ最後の銀の輝きはやっぱり、朝焼けなのではないかと思えます。月に属する世界にまだ『私』はいるんだけど、そこに朝の光が射し込んでくる情景が浮かびました。

でももしくは……朝の輝きだけではなく、月の光も陽の光も、両方が、the silver shiningなのかもしれない、とも思います。だからこそタイトルになっているのかもしれない、と。


朝の輝きは汚れさえ映す

朝が来れば、太陽の輝きで、汚れもあらわにされる


何もない、欲しいものは　私はあなたと共にいる
そしてすべてをなくして　じっとしている

あなたと共にいる、すべてをなくして、じっとしている、という状態に『私』は満足しています。


太陽のもと　眠りたい　眠りたい
日の出で　あなたは私を目覚めさせる、また
そして騒ぎ立てる　前触れなく　あなたは私を困惑させる
太陽のもと　私はただ　一番長くて眠らない夜を求める

太陽の光が支配する世界は、『私』を困惑させる世界。そんな世界に目を瞑って眠っていたい。
その世界の中で、『私』は夜＝月の世界を求める。
sleepless nightは、『私』が眠らない夜というよりも、夜が眠らない（つまり、終わらない夜、という意味）かな？と思いました。
でもわざわざsleeplessという言葉をつかっているんだから、やっぱり１行目と関連して、『私』が眠らない夜なのかな…（そう思うと、『眠りたい』って言ってたのに何で！？とわからなくなってしまいますがｗ）


夜は街中の安らぎを灯す

夜は安らぎの世界。


何もない、欲しいものは　私はあなたと共にいる
そしてすべてをなくして　海を渡る、未知の海を　太陽のもと

１番ではじっとしているだったのに、２番では海を渡るという対照的な状態。海を渡る、という表現はハイドの詞に何度か出てくるけど（今ぱっと思いついたのだと、Anemone、a silent letter、THE CAPE OF STORMS）希望に満ちた感じの印象ではない…しかもここでは、『私』にとって心地よくないはずの、太陽のもとです。
あなたと共にいる、という選択をした『私』はその結果、厳しい船出をすることになってしまった。
go and sail the sea I've never gone in the sun（海を渡る、未知の海を　太陽のもと）の歌い方がそれまでよりも各段に力強いのが気になります。悲痛な感じ、悲壮な覚悟のような印象を受けました。

『あなたと共にいる』という言葉自体、１番のサビの時から、実は実際『あなた』と一緒にいるわけではなくて、心情的に『あなた』に添っている状態かな、とも思います。
叶わない（あるいは許されない？）想いを抱き続ける状態を選んだ所為で、『私』はすべてをなくし、海を渡らなくてはならないのかもしれません。


切ない日々に心は泣いた
ちぎれた恋は彷徨うばかり

もう『何もない、欲しいものは』という満足している状態ではないのでしょう。
もう、『あなたと共にいる』という状態ではいられていないのだと。
前の連で、海を渡る時点で、既に『私』は独りだったのでは、という印象も受けました（これは歌い方からの想像、だけど）。

彷徨うばかりって、とても寂しい。THE CAPE OF STORMSのThe ghost ship wanders far（幽霊船は遠くへと彷徨う）を思い出しました。
『心は』泣いた、ってことは、切ない日々にも、実際は泣けていないのかな…だからコーラスでcan't cryという歌詞があるのかな。


何もない、欲しいものは　私はあなたと共にいる
そしてすべてをなくして　じっとしている
月のそば
すべてをなくして　私達は行くだろう
どうか　私と共に
そしてすべてをなくして　海を渡る、未知の海を　太陽のもと

月のそばがかかっているのは次の行だと私は思いました（曲の展開の所為もあって）。
つまり、『すべてをなくして私達は月のそばに行くだろう』。

そしてどうか私と共にと願った結果、『私』はすべてをなくした状態で海を渡ることになったのかもしれません（２番のサビと似た状態）
月のそば〜私と共に、は『私』の心情だから、状態を表しているその前後の文からはちょっと独立してる感じで。

もしくは、Please（どうか）という言葉は、その後の動詞すべて＝stay（いる）lose（なくす） go and sail（海を渡る）にかかるのではないか？とも考えられます。『あなた』に自分と一緒にいて＆なくして＆海を渡って欲しいと、願っている。

どちらにしても、安らぎの世界である月のそばに行く前に、『私』は太陽のもとで航海＝人生を進まなくてはならないように思います。

でもこの『私』のどうか私と共にという願いは叶わないのだと私は思います。少なくとも、太陽のもとでは。
ちぎれた恋は彷徨うばかりだから。
現状で共にいられていないからこそ、どうか私と共にと願う。
そして『私達は行くだろう』の『私達』は、私と『あなた』のことではなくて、もっと大きい、『我々は』『人間は』という意味の言葉なのかもしれない、とも思いました。


グランドクロスのライブ映像のhydeの表情でも、とても幸せな歌には思えなくて……（宇宙とひとつになる、的な幸福はあるのかもしれないけれど）
でも、『我々』の中には、人間である限り、きっと『あなた』だって入っているはずなので、太陽のもとでこの２人は一緒にはいられなくても、いずれ、月のもとでは再び出会えるのかもしれません。

※※※※※

一連ずつ意味を解釈してきましたが、では、月の世界、太陽の世界、とは何なのでしょう？ストレートに、夜と日中なのか？
この詞は『ちぎれた恋は彷徨うばかり』という言葉の通りに、ラブソングだと考えて良いのか？

私は、この詞はhyde詞によくある、いくつもの物語が織り込まれている詞だと思います。
その物語のひとつは、言葉通りの恋物語だと思います。
でも恋物語は表層で、hydeが恋以外にも描いたものがあるんじゃないかなあ……と想像。

第二層の物語は、月の光の世界＝生まれる前＆死んだ後の世界で、太陽の光の世界＝現世、という物語かな、と思いました。
ちょっと、眠りによせてと似ている感じなんですが……私は眠りによせての詞の物語の舞台設定は、生まれる前だと思っています。あの詞の目覚めは日差しのいたずら、というのと、この詞の日の出であなたは私を目覚めさせる、というのも似ています。
『生まれたくない』あるいは『まだ生まれ変わりたくない』という詞。
そして、いつか死んで、生まれる前にいた所に帰れたら、安らぎと幸せを手に入れられる。

そしてもうひとつ、第三層に、死と生になぞらえて描いた物語があるのかもしれません。
あなたと共にいること以外には望んではいなかった。でも、今は太陽のもと＝わずらわしい、不自由な世界を航行しなくてはならない。けれど、いつか月のもと＝安らかで自由な世界に帰れるはずだ、という願い。
世紀末のhydeの詞をすべてこういう方向に考えてしまうと、痛々しくなってしまうけど、でもあの頃のhydeの詞ってとにかく、自由を求めていた感じがするので。
この場合の『あなた』は…自由なのか、夢なのか、音楽なのか、愛なのか、何なのか、断定はできませんが。

コアの部分にもしもこういう物語が描かれているのだとしたら、月の光も陽の光も、まばゆい光に象徴されるすべてがthe silver shining＝あなた（共にいる、と言ったあなただけでなく、詞の中のすべてのあなた）なのかもしれない、とも、ちょっと思えてきました。幸せな感情も不幸せな感情も引き起こす、源の存在。

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